日が昇り始めた。
街が灯るのと対照的に、私は部屋の明かりを消した。
この家に戻ってくるのは、当分先になるだろう。
越してきたばかりだというのに不思議と情があった。
…そうか、思い出があるからだ。とライトニングは気づく。
捨てられなかった芋の紙袋は、未だに台所に置いてある。
次に帰った時も私を迎えてくれよ。
紙袋に挨拶をするなんて変だと苦笑する。私は、変わったな。
「…いくか」
扉を開く。太陽の日差しが降り注ぐ。
まるで新しい世界が口を開けて飲み込むかのように。